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2005年 01月 30日 ( 2 )

No.005『口寄せ』

「今、日本で最も高名な霊媒師、耶麻神 鵺子先生の驚異の交霊術を今夜は生放送でお送りします!
今夜、視聴者の皆様は奇跡の目撃者となるのです。
それでは本日の相談者の方、どうぞ。」

私は霊媒師、耶麻神 鵺子(やまがみ ぬえこ)。
一昨年、この番組で死者の霊を自らに憑依させ対話を可能にする交霊術、『口寄せ』を実演してみせ、以来、最強の霊能力者の名を欲しいままにしている。

「…埼玉から来ました。木村 妙(きむら たえ)です…。」
「木村さん、早速ですが、今日、これから先生に呼んで欲しいというのは半年前に事故で亡くされたという木村さんの恋人の霊、で、宜しいのですね?」
「はい…。どうしても、彼に伝えたいことがあるんです…。お願いします…。」

…耶麻神 鵺子、という名は、勿論、本名ではない…。
私の本名は『西原 絵梨香』。
エリカでは霊感ゼロだと、番組のプロデューサーが付けたのが「鵺子」だ…。

「ではこれより、耶麻神先生による、奇跡の交霊術を行っていただきます!では先生、お願いします!」

西原絵里香がTV業界に足を踏み入れたのは、元々霊媒などは全く関係無くて、女優志望のアイドルとしてスタートを切った…はずだった。
だが、私程度のアイドルは同期に掃いて捨てるほどいた。
その中で生き残る為には何らかのインパクト…、強烈な個性…、他と差別化を図るためのキャラクターが必要だったのだ。

誰かがこう言った。

「『霊感アイドル』、なんて…どうですかねぇ?」

以来、私は『霊感少女』であり続けた。
マネージャーが方々で集めてきた恐怖体験談を、私はさも自分の体験談のようにTVで語った。
すると、それが一部でウケて、深夜のバラエティー番組の仕事が少し増えた。
だが、それもそのうち飽きられ…、しかも度重なる深夜バラエティー出演のせいで私のイメージは固定し、念願だった女優業からも遠ざかってしまい、今にも業界から消えてしまいそうな時期がしばらく続いたのだ…。

「…先生、…耶麻神先生?大丈夫ですか?…。
…今、どうやら、先生の中に、木村さんの恋人の霊が降りてきているみたいです…!
えー、それでは、木村さん…、亡くなられた男性のお名前は…何とおっしゃるのですか…?」

「…。菅沼、忠志、です…。」

「分かりました…。えー、では、先生…、あ、いや、…忠志さん?あなたは、菅沼 忠志さんですか…?」

「…俺は、雅治…飯田 雅治だ…。『タダシ』って、誰だ…?」

「え…っ、と…?これは、一体…?」

フン…、来たね、やはりそう来たね…フフフ。
予想外の事態に司会者が困っている…。
だが私はそんなフェイクには引っ掛からない。
何しろ今回は生の特番…、絶対に失敗は許されないからね…木村 妙の身辺調査はいつにも増して徹底的にやってやった…!
ここ数年のあんたの動向についてはそれこそあんたの親よりも知り尽くしているという自信がある!

「あの…すみません、彼の名は『飯田 雅治』で合ってます…。」
「え?…あ、ぁあ、そうですか…。
…えー、それでは木村さんが飯田さんに伝えたかったことというのは、一体、どういったことなのでしょう?
では、木村さん、お願いします!」

…さぁ、ここからが本番だ…。
大丈夫、ホトケの事は調べ尽くして頭に叩き込んである…。
…一度も花咲く事は無かったけど、演技力には自信があるんだ!
何年か前に、ドラマのオーディションで監督に理不尽に貶されて涙した…
あのときからずっと、いつか見返してやるために芝居の稽古には力を入れてきたんだ!
ここでハッキリ、そこいらの三文芝居のイタコどもとの格の違いを見せ付けてやる!
『飯田 雅治』を完璧に演じ切り、木村 妙を騙し抜くんだ…!

「…あなた、本当に、飯田 雅治?」
「…妙か?久し振りだな…元気か?」
「私の携帯の番号、分かる?…ホントに雅治なら、知ってるよね?」
「そんなの、いちいちおぼえてねーよ。番号なんて、登録するだけだから憶える必要ないだろ?」
「…そうだね。…じゃあウチで飼ってた犬の名前は?」
「猫だろ?一太郎、もう帰ってきたのか…?」
「っ…!…じゃあ、私たちが出会った場所は?」
「白木屋。」
「私の嫌いな食べ物は?」
「エリンギ。」
「車のキーホルダーは?」
「イルカ。」

「……よく、調べたわね…。」

いえいえ、仕事ですから…。
しかし、疑い深い女だな…。
なんだか、趣旨が分からなくなってきた…。
司会者も困惑顔だ…。

「あの…木村さん?そろそろ本題に…。」
「ちょっと待って、まだ…」

って、まだあるのか…!?
どんなに突付かれても負ける気はしないけど、番組的にこれ以上押し問答を続けるわけにはいかない…。
ではこっちから止めを刺しに行くか…。

「妙…、もしかして、由梨の事か…?」
「え…?!」

来たっ!
木村 妙の顔つきが変わった…!
ここで一気に畳み掛けてやれ!

「由梨の事は…、すまなかった、と思ってる…。
俺がちゃんと話を聞いてやれば…あんなことには…、ホント、あいつ、俺には何も…」

「はっ!よくもそんなことが言えるわね!
私が何も知らないとでも思ってんの?!」

えっ…?!・・・ぇ…?
まさか…っ、情報に穴が…?!
ダメか?…バレたか?バレたのか…?!

「確かに姉さんは私にだって何にも話してくれなかったわ!
でも何があってもあの姉さんが自殺なんかするはずない!
おかしいと思ったから、あんたとのコト、全部調べたんだよ!
姉さんを騙して貢がせて、その上、風俗で稼がせて、仕舞いには自殺に見せかけて殺したんでしょ!?」

えっ……!!!
ぇえええっっっ・・・・・!?!

「けど、確証が得られる前に、てめぇ、事故でくたばりやがって…!
…ははっ、ちゃんと神様は見てるんだね、気の利かない神様だけどさ!」

…木村 妙が、懐から、ナイフを…え?包丁?え?ちょっと、ちょっと待っ…あ

「てめーは私がぶっ殺すって決めてたんだよ!」
「せっ…、先生ー!!あわわわ…い、一旦、CMですっ…!」

「ぃ、…いた、い…痛い…、、、
うそ…じゃん、あの、あのさ…ちょっと、待ってよ…
こんなの…ウソに、決まってんじゃん…、
私がマサハル、な、ワケ無いじゃんか…
知らねーって、そんなヤツ…・・・」

「…。…え?…嘘?
…・・・うそ。え?
で、でも…いろいろ知ってたし、すごく、フンイキとかそっくりだったから…
まさか、とても芝居だとは思えなくて…
っす、すみません…」

薄れゆく意識の中で、私は耳を疑った。
私の演技が初めて認められた瞬間だった。

「いや…、ありがと…。」




『口寄せ』:yosssy(2005/01/25)
by YosssingLink | 2005-01-30 14:10 | ショートショート | Trackback(1) | Comments(6)

『YOU GOT SERVED』を観た。

この前、タワレコに行ったらDVDが売ってたので買って観てみました。
コレ、どないな映画かって言ったら、ストリートダンスバトルに情熱を注ぐアメリカん若者たちの青春群像劇みたいな?
まぁ、この際ストーリーとかは実はけっこうどーでも良くて、見所はやっぱ、ダンスバトル、それもブレーキンパートの超絶テクの数々でございます。
えっ、人間てそんなコトも出来るんかッ?!
ワイヤー無しでも有りですか、そーゆーのっ!?

的な、…もう、スゴ過ぎ。
いや、ま、中国雑技団とかもそりゃスゴイですが、アレとはまた違った趣きがあって、見てて面白いしスゴいしカッコいいし。
バク転倒立して、ビタっ!とフリーズすんのなんか、ああもう、重力無視ですか?絶対マネ出来ね。
でもいいよね~。踊れたらカッコいいし、楽しそうだよね~ん。
急に音楽に乗せて踊れ!って言われても、コレがまた、間抜けな怪しい動きしか出て来ないんだよね。
いつなんどき「踊れ!ほら、レッツダンスだろうが!」って言われるか分かんないし、幾つかステップを身に付けといた方がいいかな?
by YosssingLink | 2005-01-30 01:20 | 映画(○) | Trackback | Comments(0)